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月と常夜灯

常夜灯系作家・結来月ひろはの公式サイト

だから、私はUFOにお湯を注いで会いに行く



8月16日、お盆が終わりましたね。
ただの休みでしかなかったお盆。けれど祖父母がなくなってからは、ただの休みではなくなり、また違った意味を持つものになりました。

祖父はカップ麺を食べる人で、小さい頃は週末になると「カップ(麺)ですまそうやないか。休みの昼くらい(自分が食べたいのもある)」と祖母達に言い、スーパーに行くと幼い私を連れては一緒にカップ麺売り場に向かい、ふたりで選んだカップ麺をそっと祖母の押しているカートの買い物カゴに入れては「また勝手に入れて!」と怒られたものでした。

カップ麺の中でも印象に残っているのが焼きそばのUFOです。
祖父がとくによく食べていたからというのもありますが「UFOで焼きそば」と当時の私にとってはその名前も、お湯を切ってからソースを混ぜる作り方もすごく不思議なものに思えました。

祖父から少し分けてもらって食べたUFO焼きそばに、家族で囲んだ週末の食卓。
特別豪華なものではなかったけれど、私にとってあの食卓はたしかに幸せな想い出です。

最近はあまりカップ麺は食べていなかったのですが、今日ひさしぶりにカップ麵を食べました。
UFO焼きそばを食べるのは、本当にいつぶりのことか。

お湯を注ぐときにやけどをしないようにすること、ソースはあとから入れること、お湯を捨てる時はシンクに水を流しながら捨てること、勢いよく捨てると麺がこぼれてしまうこと。
それらは祖父母が教えてくれたことでした。

あの頃よりも大きくなった私はひとりでUFOを食べ切ることができるようになりました。それでもあの頃のように分けてもらったUFOを食べたいと。

味が変わるわけでもないのにそんなことを思ってしまうのは今日がお盆の最終日だったからなのだと、そう思います。

だから、どうしようもなく会いたくなった時はUFOにお湯を注いで会いに行くことにします。
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